シンポジウム趣旨
目的と開催意義:
がん・免疫疾患・感染症の3分野を中心に、薬学分野における疾患生物学の研究成果を俯瞰し、現在の立ち位置と今後の臨床応用への展開の可能性を集中的に議論すること、学内外の学生や若手研究者に広く国際学術交流の機会を提供すること、の2点を目的とする。がん、免疫疾患、感染症などの難治性疾患に対する革新的治療・診断法の確立と開発に対する社会的要請が強い。糖鎖とその認識分子がこれら疾患を調節する鍵分子として機能する例が近年多数報告されている。一方で、糖鎖機能に関するこれら多数の知見はその多様さ故に十分に整理されておらず、専門外の疾患生物学研究者をこの領域から遠ざける遠因となっていた。産・官・学のバックグランドをもつ疾患生物学・薬学の研究者一般を対象に、糖鎖疾患生物学領域の現況とその本質をわかりやすく提示する場を設けることは、現状の単なる整理にとどまらず、多様な研究者に対して新規治療法への道筋やアイデアを提案できる意義深い機会になると期待される。
我が国は糖鎖生物学、疾患生物学研究の基礎領域において世界をリードしており、本シンポジウムの開催は、我が国の学術レベルと国際的プレゼンスを高く保つためにも大きな意義がある。大学という場で若手研究者が気軽に参加できる国際会議の機会を提供することは、次世代の糖鎖疾患生物学研究者が国際的に活躍する人材として成長していく機会としても意義深い。本シンポジウムの開催は、当該領域の学術レベルの向上のみにとどまらず、より長期的には国際的な活躍が期待される人材育成を通じて、我が国の製薬産業の発展にも大きく貢献できるものと考えている。